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2019年11月07日(木)

キャッシュレス決済還元の仕組みとは?事業者の方向けに解説します!

近年急速に拡大しているキャッシュレス決済事業ですが、消費者へのポイント還元事業が大量にあってよくわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は店舗事業者の方向けにキャッシュレス還元の仕組みを解説したいと思います。

キャッシュレス決済還元の仕組みとは

キャッシュレス決済による還元とは、大きく分けて政府による還元事業と決済事業者による還元事業の2つがあります。政府による還元事業は、予め政府への加盟店登録が必要になります。また、還元の対象となる店舗に制限があり、事業の種類や店舗の規模によって還元の対象となるかが変わります。さらに、還元の時期も決まっており、2020年6月までという期限があります。一方決済事業者による還元事業は、基本的に店舗の種類や規模での制限はなく、各決済事業者ごとに還元率や実施の期間が異なります。

政府による還元の仕組み

政府による還元とは、一言でいうと、決済事業者が消費者にポイント還元した分を、政府が補助金として負担するという仕組みです。

https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_introduction.pdf
出典:「キャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)中小・小規模店舗向け説明資料」経済産業省

上図は経済産業省が店舗事業者向けに作成した資料の一部です。これを時系列に沿って詳しく解説していきます。

事業者がキャッシュレス決済事業者に申し込み・登録します。

キャッシュレス決済事業者は決済の端末等を事業者に提供します。

消費者が店舗等で商品を購入し、キャッシュレスで支払いを行います。

決済事業者が消費者にポイントを還元します。
(このポイントの還元方法は決済事業者により異なります。)

決済事業者が政府に補助金を請求し、政府はその額に応じて補助金を交付します。

つまり、店舗事業者は加盟店に登録していれば(後で詳しく解説します)、国と補助金等のやり取りをする必要はありません。この期間は決済事業者が多くポイント還元をしてくれるので、消費者にとっても店舗事業者にとっても有益な仕組みといえるでしょう。

ただし、この政策は、2019年10月~2020年6月までの期間限定の政策なので、この期間以降は実施されませんのでご注意ください!

決済事業者による還元の仕組み

政府による還元事業とは別に決済事業者が独自に行っている還元制度もあります。こちらの仕組みも基本的には上記の図の通りですが、⑤の政府による補助金がなくなるという違いがあります。
決済事業者による還元事業は、一律に決まった期間はなく、事業者によって実施期間は変わります。詳しくは各決済事業者のサービスを調べてみてください。

また基本的には、決済事業者の還元事業を利用するために、店舗の規模などの制限や特別な手続きはありません。
一方、政府による還元事業については、様々な制約や手順があるので、次から詳しく説明をしていきたいと思います!

キャッシュレス決済の還元対象になるには加盟店登録が必要

政府によるキャッシュレス還元事業の対象になるには、ただキャッシュレス決済を導入するだけでなく、加盟店登録をすることが必要です。
加盟店に登録をするためには店舗の業種や規模などに制限があるので、まずはそこから確認していきましょう。

店舗の規模

政府によるキャッシュレス還元事業の対象となるのは、基本的には中小・小規模店舗です。個人で行っている店舗だけでなく、フランチャイズチェーン店の店舗も含まれます。また、実店舗だけでなく通販サイトなどのECサイトも対象となります。
詳しい基準は下記の表をご覧ください。「資本金の額又は出資の総額」か、「常時使用する従業員の数」」のどちらかを満たしていれば対象となります。(基準を満たしていても一部対象外となる場合があります。)

産業区分 資本金の額又は出資の総額 常時使用する従業員の数
製造業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業(下記2つを除く) 5000万円以下 100人以下
旅館業 5000万円以下 200人以下
ソフトウェア業・情報サービス業 3億円以下 300人以下

https://cashless.go.jp/assets/doc/gaiyou_cashless_kessai.pdf
出典:「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要」(4月12日(金)時点)経済産業省/一般社団法人キャッシュレス推進協議会

店舗の業種

政府によるキャッシュレス還元事業の対象となる業種は、(中小規模の)飲食店や食料品店、また理美容室や雑貨店などです。対象外となる業種については、下記の表を御覧ください。

補助の対象外となる事業者
  • 国、地方公共団体、公共法人
  • 金融商品取引業者、金融機関、信用協同組合、信用保証協会、信託会社、保険会社、生命保険会社、損害保険会社、仮想通貨交換業者
  • 風営法上の風俗営業(※一部例外(注)を除く)等
  • 保険医療機関、保険薬局、介護サービス事業者、社会福祉事業、更生保護事業を行う事業者
  • 学校、専修学校等
  • 暴対法上の暴力団等に関係する事業者
  • 宗教法人
  • 保税売店
  • 法人格のない任意団体
  • その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断する者

(注)①旅館業法上の許可を受け旅館業を営む事業者、②食品衛生法上の許可を受け、生活衛生同業組合の組合員であり、料金の明示、明細の交付など会計処理 を的確に行うことについて組合の指導を受けた旨の確認を得て飲食店を営む事業者

補助の対象外となる取引
  • 有価証券等、郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等(商品券、プリペイドカード等)
  • 自動車(新車・中古車)の販売
  • 新築住宅の販売
  • 当せん金付証票(宝くじ)等の公営ギャンブル
  • 収納代行サービス、代金引換サービスに対する支払い
  • 給与、賃金、寄付金等
  • その他、本事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び補助金事務局が判断するもの

https://cashless.go.jp/assets/doc/gaiyou_cashless_kessai.pdf
出典:「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要」(4月12日(金)時点)経済産業省/一般社団法人キャッシュレス推進協議会

金融商品や自動車・住宅などの販売事業は対象外なので注意しましょう。
ここに載っていない業種であれば基本的には対象となります。(一部対象外となる場合があります。)

利用するキャッシュレス決済手段・決済事業者

政府によるキャッシュレス還元の対象となる決済方法は、前掲した「キャッシュレス・消費者還元事業HP」によれば、「クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど、電子的に繰り返し利用できる決済手段」となっており、様々な決済手段に対応しています。
また、導入する決済事業者については、政府による「キャッシュレス・消費者還元事業」に登録されたキャッシュレス決済事業者に申込をする必要があります。この事業に登録されている決済事業者数は約350社(2019年10月末現在)です。事業者一覧については「キャッシュレス・消費者還元事業HP」に掲載されています。大手クレジットカード会社や有名なキャッスレスサービスを提供している会社も含まれているので、ぜひ調べてみてください!

加盟店登録の仕方

加盟店登録は決済事業者経由で行います。大まかな手続きとしては、経済産業省が発行する13桁の加盟店IDを取得し、決済事業者を通じて登録審査を行い、審査が通れば登録完了という流れです。詳しいプロセスは下記の図を参照するか、もしくは各決済事業者にお問い合わせください。

https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_introduction.pdf
出典:「キャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)中小・小規模店舗向け説明資料」経済産業省

注意したいポイントは、キャッスレス還元事業の期間は2020年6月末までですが、加盟店登録は2020年4月末までに申請する必要があるということです。申請の期限が2ヶ月短いので注意しましょう!

還元率は店舗によって違う

キャッシュレス還元の割合は店舗の種類によって異なり、

  • 中小・小規模の飲食店や食料品店、また理美容室や雑貨店については還元率5%
  • フランチャイズチェーン店の店舗(コンビニやガソリンスタンドなど)については、還元率2%

というようになっています。

キャッシュレス決済導入にあたっての補助金もある

キャッシュレス決済導入にあたって、ポイント還元以外にも政府からの補助金を利用することができます!初期費用がほぼ無料になったり、キャッシュレス決済を導入する上で大きな壁となっている決済手数料も安価になったりととてもお得なので、ぜひ確認してみてください。

キャッシュレス決済端末導入の費用に補助が出る

キャッシュレス決済を導入するにあたって、カードリーダーなどの端末を入手する必要がりますが、キャッシュレス還元事業の期間内であれば、店舗の事業者は自己負担なしで決済端末を導入することができます!(一部例外の端末があります。)
内訳としては、端末導入費用のうち、決済事業者が1/3を、国が2/3を補助してくれます。

決済手数料も安価になる

キャッシュレス決済を導入すると、店舗の売上から毎月決済手数料を決済事業者に支払う必要があります。この決済手数料について、キャッシュレス還元事業に登録している決済事業者であれば、還元事業の期間内は3.25%以下とすることが条件となっています。さらに、その1/3を国が補助してくれるので、事業者の負担は実質2.17%以下となります。
また、2020年6月末に還元の期間が終了した後、決済手数料が変更となるのかどうかについては、各決済事業者に開示が義務付けられています。還元期間終了後も決済手数料はそのままのところも、変更するところもどちらもあるので、ぜひ「キャッシュレス・消費者還元事業HP」を御覧ください。(各決済事業者のHPでも確認することができます。)

まとめ

  • 1キャッシュレス決済による還元とは、政府による還元事業と決済事業者による還元事業の2つがある
  • 2政府による還元事業は、決済事業者が消費者にポイント還元した分を、政府が補助金として負担するという仕組み
  • 3政府による還元事業は2019年10月~2020年6月末までの期間限定である
  • 4政府による還元を利用するためには、キャッシュレス還元事業の加盟店に登録する必要がある
  • 5加盟店に登録するためには条件や手続きがあるので、要確認

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