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2019年05月22日(水)

何故QRを使用したキャッシュレス決済は低コストで導入が容易なのか

キャッシュレス決済にはクレジットカードと電子マネー、QRコードを使った決済の3つが挙げられます。
いずれも導入時にコストがかかりますが、QRコードを使った決済のほうが低コストで導入も簡単と言われています。
その理由を考えてみましょう。

キャッシュレス決済の導入

キャッシュレス決済を導入するにあたって大きなハードルとなるのが導入コストです。
設備設置や契約に費用がかかるため、キャッシュレス決済に躊躇される経営者の方も多いのです。

システムの導入が低コストで容易なキャッシュレス決済

それでは、実際にキャッシュレス決済を導入する際にはどのような費用がかかるのか、なぜ費用がかかるのか、クレジットカード決済の場合とQRコード決済の場合で、それぞれ考えていきましょう。

クレジットカード決済の場合

現在広く使われているのはクレジットカード決済ですが、導入するためには10万円近いコストがかかります。
その要因として、手間と設備・システム構築が挙げられます。

クレジットカード決済を店舗や企業が導入するためには、まず決済代行会社に申し込みを行い、見積もりを取る必要があります。
実はクレジットカード会社と直接取り引きをするのではなく、決済代行会社を介して取引をする形になるのです。

導入することが決まったら決済代行会社に必要書類を提出。
決済代行会社はクレジットカード会社に審査を依頼し、クレジットカード会社がお店や会社にクレジットカード決済の導入を許可するかどうかを審査します。
審査項目は多岐に渡り、商品の種類や企業規模、経営状態などが挙げられます。
もちろん、法律に反するものや公序良俗に反するものを取り扱っている場合などは審査に通過しません。

無事審査に通過すると、クレジットカード会社から決済代行会社を通じてお店や会社に審査結果が通知され、いよいよ導入準備のスタートです。

契約を結んだ後にクレジットカード決済に必要な端末や機材を購入し、システムを構築してようやく決済システムが使えるようになります。

決済代行会社とクレジットカード会社でこれだけの手間がかかっているので、手数料もそれなりに必要となるのです。
さらに、機材もクレジットカードを読み取るカードリーダーや、カード会社と情報をやり取りするための信用照会端末などを揃える必要があり、これらを既存のPOSシステムと連携させなければいけません。
こうした機材の購入費やシステム構築費用が大きなコストとなるのです。

QRコード決済の場合

次にQRコード決済のケースを見てみましょう。
クレジットカードと異なり、消費者が決済代行会社に入金するので、クレジットカード会社ではなく決済代行会社との直接取り引きとなります。

店舗や会社が申し込みを行い、審査情報の入力をすると、決済代行会社が審査を行います。
審査に通過した場合は決済代行会社から結果通知があり、契約を締結。
決済システムの導入準備を行い、運用することができます。

クレジットカード決済では専用の端末や機材を購入する必要がありましたが、QRコード決済の場合はそうした機材は必要ありません。
手持ちのスマートフォンやタブレット端末にアプリをインストールするだけで使えます。
顧客がQRコードを読み取るだけなので、カードリーダーなども必要ありません。

導入の手続が非常に簡素なので、その分手数料を取る必要もなく、端末や機材を購入したり、システムの構築をしたりすることも少ないので、導入コストも非常に割安となります。
決済代行会社によっては導入コストが0円、あるいは他社よりも格安で導入できるサービスもあります。

さらに、お店側でスマホやタブレットなどでQRコードを表示できない場合は紙やPOPに印刷して対応することも可能です。
QRコードを表示させる端末も購入する必要がないので、経費削減にもつながります。
例えば電源などが確保できない屋台や屋外店舗などでもQRコード決済を導入することが可能です。

さて、このように従来のクレジットカード決済よりも大幅に安いコストで導入できるQRコード決済ですが、政府の政策やキャッシュレス決済の競争激化という社会情勢も、導入する店舗や企業にとっては追い風となっています。

現在、政府では拡大するインバウンド需要の取り込みと、消費税増税を控えた景気対策の一環としてキャッシュレス決済の導入を推進しています。
特に後者は喫緊の課題となっていて、生活必需品には低減税率を適用し、大手3社コンビニと中小小売店でキャッシュレス決済を行った場合には購入代金の2%もしくは5%がポイントとして還元される施策が行われます。

キャッシュレス決済の推進施策はこのように消費者にメリットを与えるだけではなく、導入する店舗や企業にもメリットを用意することが検討されています。
具体的にはキャッシュレス決済に必要な機材・端末の購入やシステム構築に必要な費用に補助金を出す、地方の中小小売店に決済手数料の優遇措置を行うといったものです。
この施策は従来のクレジットカード決済も含まれますが、割安であるQRコード決済の場合はよりメリットを感じられるでしょう。

それに加えて、QRコード決済サービスを提供している決済代行会社間の競争も激しくなっています。
加盟店舗を増やすことで、ユーザーも取り込むことができるので、各社とも加盟店の獲得に躍起になっています。
初期コストを無料にする、格安で導入できる割引をキャンペーンとして行なっている会社も多いです。
導入に関わるコストはもちろん、一定期間手数料を無料にしているという会社もあるほどです。

キャッシュレス決済推進が国策として行われ、決済代行会社で加盟店の奪い合いが行われている今が、キャッシュレス決済導入のチャンスと言えます。

クレジットカードとQRコード導入の流れの図(P460)

前章でもクレジットカード決済とQRコード決済の導入の流れをご説明しましたが、改めて表にしてまとめてみましょう。

クレジットカード決済の場合は店舗・企業と決済代行会社、クレジットカード会社の三者が関わります。
申込みからサービスの開始まで8つのステップがあるので、時間と手間もかかり、それゆえにコストも高くなってしまうのです。

一方、QRコード決済の場合は店舗・企業と決済代行会社の二者間取引です。
申込みからサービス開始までの手順は4ステップと、クレジットカード決済の半分。
さらに、機材・端末の購入やシステム構築の手間もかからない
ため、クレジットカード決済と比較するとコストも低く抑えられるのです。

こうして図にしてみると、QRコード決済の導入がいかに簡単なのかがはっきりし、コストがかからない理由もおわかりいただけるかと思います。

まとめ

  • 1クレジットカード決済導入には手間がかかり、機材を購入してシステムを構築しなければいけない
  • 2上記のような理由から、クレジットカード決済は初期コストが割高
  • 3QRコード決済は手間がかからず、専用の機材や端末を購入する必要がない
  • 4手持ちのスマホやタブレットにアプリをインストールするだけでQRコード決済ができる
  • 5QRコード決済は手間や機材購入が必要ないので、クレジットカード決済と比較して導入コストが割安
  • 6政府がキャッシュレス決済を推進し、決済代行会社間で競争が激化
  • 7補助金やキャンペーンでキャッシュレス決済が割安で導入できる可能性が高い

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