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2019年05月22日(水)

何故日本のキャシュレス決済普及率は低いの?今後の普及の可能性は?

日本は諸外国と比較してキャッシュレス比率が低く、キャッシュレス決済後進国と言えます。
なぜ、日本ではキャッシュレス決済の普及が遅れているのでしょうか?
果たしてこれからキャッシュレス決済は普及していくのでしょうか?現状と今後を考察します。

キャッシュレス決済のシェア

そもそも、日本は本当にキャッシュレス決済が普及していないのでしょうか?
まずは現状について見ていきましょう。

日本のキャッシュレス比率

キャッシュレス決済が普及しているかどうかは「キャッシュレス比率」という指標で考えることができます。
この指標は経済産業省が発表していて、比率が高ければ高いほどキャッシュレス決済が普及していると言えます。
経済産業省が発表した『キャッシュレスの現状と今後の取組』によると、日本の2015年度のキャッシュレス比率は18.4%でした。
この数値は高いと言えるのか、低いと言えるのか、諸外国と比較してみましょう。

他国との比較

下表は世界各国のキャッシュレス比率を比較したものです。

米国は45%、オーストラリアは51%、英国は54.9%、中国は60%と、概ね諸外国のキャッシュレス比率は40~60%となっていて、およそ半数の決済がキャッシュレスで行われているのです。

特筆すべきは韓国。キャッシュレス比率は89.1%で、ほとんどの決済がキャッシュレスで行われていると言っても良い状況です。

こうしてみると日本の18.4%という数値は非常に低く、やはりキャッシュレス決済後進国と言わざるを得ません。
ちなみに、日本よりも低い国としてドイツが挙げられます。

何故キャッシュレス比率が他国に比べて低いのか?3つの理由

それでは、なぜ日本はこれほどまでに他国と差がついてしまったのでしょうか?その理由は以下の3点が考えられます。

根強い現金主義

博報堂生活総合研究所が行った『お金に関する生活社意識調査』では、「キャッシュレス社会になったほうが良いか」という質問に対して、男性の場合は4割、女性の場合は6割が「ならないほうが良い」と回答。
その理由として、セキュリティ面の不安や浪費に対する心配が挙げられました。
手に取れないお金に対する不安感が、キャッシュレス決済普及に歯止めをかけている理由だと考えられます。

スマホを使った決済は使い方がわかりにくく、現金で支払った方が簡単という人が多いのも現金主義の理由として挙げられるでしょう。

店舗がキャッシュレス決済を受け入れない

消費者だけでなく店舗側もキャッシュレス決済に消極的な傾向があります。
大手企業のチェーン店やコンビニなどではキャッシュレス決済が普及していますが、個人経営の商店や飲食店では対応していないケースも多いです。

キャッシュレス決済に必要な端末の購入やシステム構築に費用がかかることと、決済手数料がかかること、決済から入金までのタイムラグが障壁になっていると考えられます。

現金を扱うインフラが充実している

インフラ先進国という日本ならではの理由が一番大きいのではないかと考えられます。
日本では銀行はもちろん、駅前やショッピングセンター、コンビニなどいたる所にATMがあり、現金がほしいときにはすぐに引き出すことが可能です。

しかも治安が良くて多額の現金を持ち歩いても犯罪被害に遭う確率が低く、偽札が出回っているということもありません

インフラが整っていて治安が良いのは大変素晴らしいことなのですが、それ故キャッシュレス決済の普及が遅れていると考えられます。

今後キャッシュレスは普及する?しない?

インフラが整備されていて治安も良い。
敢えて実態がなくて不安感が払拭できないキャッシュレス決済を選択する必然性は高くないからこそ、日本では現金主義が根強いのだと考えられます。
そうした状況下でキャッシュレス決済は普及していくのでしょうか?
今後の展望について考えてみましょう。

中堅、中小、地方事業者の裾野拡大

前述のとおり、大手企業が運営する店舗やコンビニではキャッシュレス決済が普及していますが、中堅、中小企業や個人が経営する店舗ではまだまだ普及していないのが実情です。
その要因として導入コストや決済事業者に支払う手数料が挙げられます。

長らくキャッシュレス決済はクレジットカードが主流でした。
しかし、近年ではQRコード決済の普及により銀行や通信キャリア、IT企業などが市場に参入し、棲み分けが崩れかけています。

新規に参入した決済事業者のターゲットはこれまでキャッシュレス決済の導入に障壁を感じていた中堅、中小、地方事業者です。ユーザーを獲得するためにはまず加盟店を増やす必要があるため、導入コストや手数料の割引などを呼び水として加盟店獲得に力を入れています。
また、事業者、ユーザー双方の利便性を高めるシステムやサービスの提供などを行い、しのぎを削っている状況です

スマホを使用したQRコード決済の重要性

スマホの普及率が著しい昨今、特に注目を集めているのがQRコード決済です。
QRコードをスマホで読み込めば決済が完了するので、お財布すら持ち歩く必要がなくなります。

いかにQRコード決済を普及させるかが、キャッシュレス決済普及のカギとなるでしょう。

QRコードの規格の統一化

QRコードは日本のデンソーウェーブが開発した技術で、2000年にISO規格となり全世界に普及しています。
ほとんどの端末でQRコードを読み込むことが可能ですが、なかにはQRコード上に文字や画像を載せたものなどが存在し、読み取り機器によってはエラーや読み取り不可といったトラブルも発生します。
また、決済事業者ごとにQRコードが異なると店舗側にとってはそれぞれの会社のコードを表示させる必要があり、手間とコストがかかります。

ユーザーが安心して使え、事業者が手間とコストをかけずに導入するためには、キャッシュレス決済で使用するQRコードの規格化が課題と言えます。

経済産業省のルール制定(消費者保護/セキュリティ)

キャッシュレス決済が普及しない要因として消費者の不安が挙げられます。
経済産業省では2018年4月に発表した『キャッシュレス・ビジョン』のなかで、具体的な方策として消者保護、セキュリティ対策の必要性を示しています。
具体的な方策として共通の本人確認・認証に関する仕組みの整備、利用額がわかるシステムや利用状況のアラートシステムの構築などが挙げられています。

以上のような4つの点、つまり

  • 「中堅、中小、地方事業者のキャッシュレス決済普及」
  • 「スマホを使ったQRコード決済の浸透」
  • 「QRコード規格の統一化による利便性の向上」
  • 「消費者保護、セキュリティ対策のルール制定」

がキャッシュレス決済を普及させる今後の課題であると言えます。

そして、これらの課題が解消されることで、キャッシュレス決済がより普及し、キャッシュレス後進国から脱却できる可能性が高くなるのです。

まとめ

  • 1日本のキャッシュレス比率は18.4%で、諸外国と比較すると低い
  • 2根強い現金主義、店舗の導入率の低さ、現金を扱うインフラの充実などが、キャッシュレス比率が低い要因として考えられる
  • 3さまざまな企業がキャッシュレス決済に参入している
  • 4特にQRコード決済の普及がキャッシュレス決済の普及のカギとなっている
  • 5QRコードの規格化の統一化を図ることで利便性が向上できる
  • 6消費者保護とセキュリティのルール制定の必要性が高まっている
  • 7課題を解決することで、キャッシュレス決済が大きく普及する可能性が高い

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